ヨーロッパの伝統と山形らしさ タケダワイナリー「蔵王スターワイン」

蔵王スターワイン

「つや姫」「はえぬき」をはじめとする美味しいお米の揃う山形県は名実ともに「米どころ」として高い評価をいただいています。他方では「果物どころ」としても評判で、さくらんぼにラフランス、りんごにすももにと多種多様な果物が生産されています。そう、山形県は柑橘類を除く様々な果物の生育に適した環境を有しているのです。それはぶどうにとっても例外ではありません。そのためか山形県には2014年11月現在で12のワイナリーがあり、各地域の特色を活かし個性が光るワインづくりが行われています。例えば鶴岡市・旧朝日村では、古来から住民に親しまれてきた山ぶどうを資源として活用した「月山ワイン」が生産されています。また高畠町では贅沢な極甘口の貴腐ワイン「まほろばの貴婦人」が生産されており、ワイナリーごとの個性が如実に現れるワインがたくさん揃っているのです。もちろん、山形県産ワインの対外的な評価も折り紙つきです。

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さて、そんな総じて評価の高い山形県産ワインのなかでも、ひときわ異彩を放ち続ける「スター」が山形県上山市にあります。その名も「蔵王スターワイン」です。

その味わい、まさに「山形らしさ」でいっぱいです。口に含んだ途端、山形県産マスカットベリーAが持つ爽やかでシャープな酸味が口いっぱいに広がります。おだやかなタンニン分とあいまって、ついつい何杯も「おかわり」をしてしまいそうです。ライトボディで軽めのワインながらその「山形らしさ」あふれる味わいに魅せられたファンは大変多く、山形県内のみならず全国各地から根強く愛されていると聞きます。そうそう、醤油メインのしっかりとした味付けの山形の美食ともきっと合うはずです―――芋煮、山形牛のすき焼き、牛肉どまんなか弁当、九十九鶏弁当……考えただけで幸せですね!たまらない!

ちなみに「蔵王スターワイン」は定価でも1200円程度で購入することができます。それでこれだけ美味しいのですから、つまり「コスパがいいワイン」ということです。

蔵王スターワイン

そんな「蔵王スターワイン」を作っているのは、山形県上山市に工場・農園を構えるタケダワイナリーです。タケダワイナリーは「蔵王スターワイン」のようなみんなに広く愛されるワインを作るその一方で、通を唸らせる銘酒も生み出しています。例えば「ドメイヌ・タケダ《キュベ・ヨシコ》2003」は幻のスパークリングワインとも評される一本で、2008年7月に行われた洞爺湖サミットで各国首脳が乾杯したその一杯、それがこのワインです。

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タケダワイナリーでは「良いワインは良いぶどうから」をモットーに、蔵王連峰を望む南向き高台に設けられた15ヘクタールもの自社農園で、様々なヨーロッパ系高級ワイン用品種が栽培されています。ちなみにある大手メーカーの自社農園は20ヘクタール程のようですから、それと比較すると山形の小さなワイナリーがこれだけの自社農園を持っているというのが驚きです。どれほどブドウ栽培に注力しているのかがわかります。

一般的にカベルネソーヴィニヨンをはじめとするヨーロッパ系の品種は、日本での栽培は難しい品種と言われています。しかしタケダワイナリーは20年の歳月をかけ、自社農園の土壌を水はけの良い中性〜アルカリ性の土壌へと改良。また栽培方法もほとんどの日本のブドウ農園が採用する「ブドウ棚」での栽培ではなく、ヨーロッパ式の「垣根作り」での栽培を行っています。こうした並々ならぬ努力によって、難しいとされるヨーロッパ系の品種の自然農法栽培を実現させているそうです。ちなみにワイン製造もブドウにもともとついている酵母を活かした自然発酵で行われており、栽培・生産から製造まで一貫して「自然」にこだわったワインづくりが行われています。

なおタケダワイナリーではピノノワールとヴィオニエといった、これまた日本での栽培が難しいとされる品種の試験栽培も行われているそうです。

蔵王スターワイン

ところでタケダワイナリーのウェブサイトを見ると、こんな一文が記載されていました。

「※日本ワインコンクール等は、思想的な相違から出品を控えている為、入賞記録はありません。」

なるほど。確かにコンクールで賞を受賞すれば話題にもなりますから、多くのワイナリーがコンクールに出品しています。しかしそれをしないのがタケダワイナリー。それはヨーロッパの伝統的なワインづくりに基づいた確かな哲学があるからこそ、進むべき道を着実に歩んでいるからこそ…だからでしょうか。そうしたワインづくりへの情熱が希少な高級ワインのみならず「蔵王スターワイン」のようなテーブルワインにまで及んでいるのですから、こんなに嬉しいことはありません。

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タケダワイナリー ウェブサイト

http://www.takeda-wine.co.jp/

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